SPECIAL

WORKLIFE INTERVIEW
VOL.09 BASE

2018.05.29.

WORKLIFEINTERVIEW044.png

 

マグネットで自由に取り外しができるアクセサリーパーツを使って、自分好みにカスタマイズできるデスク、BASE(ベース)。広い天板で作業スペースが確保できるのが魅力です。

WORKLIFEINTERVIEW086.png


ほっしぃ BASEは治田さんととっぽが深く関わってやっているので、僕よりいろんな苦労や工夫をしたんじゃないかな。
 
日本製にしたっていうのが、ひとつ大きな決断でした。日本で作ることによって、クオリティだったり細かい仕上げだったりを密にやりとりしてこだわることができました。
 
— 家具という大きなものは、いままで小物類が多かったNuAnsとしては思い切った挑戦のように思えたのですが
 
治田 NuAnsの2ndシリーズはミラノサローネ(イタリアの家具の見本市)での発表というのがありましたし、家具は最初から入ってましたね。
 
働くスタイルの周りのものを考えると、結局机を使うし、机本体やっちゃったら面白いと言うか、提案の幅があっていいかも、ということで。
 
WORKLIFEINTERVIEW088.png
 
— ミラノサローネでの反響はいかがでしたか?
 
治田 めちゃくちゃよかったです。とっぽさんが…なんでしたっけ?
 
とっぽ 最初「マグネティック」って言って身振り手振りでオプションのアクセサリーが取り付けられるのを説明してて、途中でイタリアだから「マニエーテだ!」って。
 
治田 そうそう、「マニエーテ」って言ってアクセサリーパーツをカチッとすると、みんなニコッとしてくれました。
 
WORKLIFEINTERVIEW094.png
 
青木 全体の見た目がシンプルで、足に渡りがないっていうのが魅力です。縦と横のラインだけで構成されているという時点で、ミラクルが起きてるんで。そこだけで100点なのに、さらにマグネットでオプションパーツが付くなんて、信じられないです!
 
— (笑)
 
— マグネットでオプションのアクセサリーパーツをつけるというのは、何から着想を得たのですか?
 
治田 どんな机だったら僕らがやる意味があるかね、っていう話をしていて。
 
側面にカスタムできると、机に色んな物を置いても上は作業スペースを確保できる。有孔ボードにいろんなものをフックで掛けて、自由にカスタマイズするっていうのを展示でやっていました。
 
今はお店だったり、家でもDIYをやる人が増えてきて、そういうような考え方に近いことができる机ってまだないということろから、アイデアが出ました。
 
WORKLIFEINTERVIEW093.png
 
青木 僕もBASEを見て、自分の机に大きいクリップを留めてそこにヘッドフォン掛けてるんです。その手があったか!と。ヘッドフォンって、使ってない時は結構邪魔なんですよね。
 
治田 溝があって、そこに何かを引っ掛ければフックとかが留まるなーって考えてたんです。
 
さらに、この構造のために溝にスチールのレールを渡しているおかげで、強度が増しています。天板が強固になることで揺れがおさまって、結果的に、必要な構造が強度にも機能しているんです。
 
— アクセサリーはなぜこのラインナップになったのでしょう?
 
WORKLIFEINTERVIEW095.png
 
治田 パーテーションは僕がちょっとした間仕切りになるようなものが欲しかったんです。オフィスで使っていただけるなら、そういう需要もあるんじゃないかなって思って作りました。
 
あと、一番シンプルなフック。鞄とかヘッドホンとかそういうちょっとしたものを掛けられるパーツはやっぱり一番使うんじゃないかなって。
 
BASEの場合は、アイディアが出てこういう構造でっていうスケッチを書いて、試作まではいったんですけど、量産までの道のりが険しかったです。精度が求められる方法を選んじゃったので、調整が大変でした。その辺はもう、とっぽさんと、製作工場の担当さんが…。そこが一番時間かかってますね。
 
とっぽ ネットでひたすら検索して、たまたま1点モノをつくる溶接工場を近場で見つけて、開発途中だったのでミラノサローネの分はそこで作ってもらったんです。販売用ではなくイベントでの展示用なので、数個作れればよかったので。
 
— その工場は試作用だけなのですね
 
とっぽ そうです。その試作のクオリティがあまりにも高すぎたんです。それと比べちゃうと、量産を頼もうとしている工場では全然比べられない…と。ただ、今思うと初めにゴールがみえたので、あとはどう量産するか、それだけに専念できました。
 
— 量産レベルでクオリティを保てる工場が見つからなかったのですね。200件くらい問い合わせたって聞いています
 
治田 コストとか量とかクオリティとか、最適なところが見つからないのが、一番大変でした。とっぽさんなしではリリースされなかった製品ですよ。

ここからは、BASEの製作工場である新潟県の燕三条・株式会社ソーグの大竹氏にもお話を伺いました。

WORKLIFEINTERVIEW091.png

大竹 うちは普段は陳列のフックとか店舗什器(※)とか、そういうのを作ってるんです。
 
(※)店舗什器(てんぽじゅうき)とは…店頭で商品などを陳列・設置するためのもの。フックやスタンドなどの小型のものから陳列棚やテーブルなど大型のものもそう呼ばれる
 
— BASEをやることになったきっかけは?
 
とっぽ たくさんの工場に問い合わせて、何社かとやり取りをしました。大竹さんはその中のひとり。会社は新潟だけど、そのときたまたま大竹さんが東京に居て、打ち合わせしましょう、ってなって。
 
大竹 最初、図面があって、サンプルもあるからって話で。一回、値段出させてもらったのですが、金額が合わなくて…。
 
とっぽ 普段机とかをやっているような工場からは、お断り価格で見積もりが来たりとかしてました。「そもそもやれない」と。でも大竹さんはとにかくリアクションがよかったので、これは力を注いで説得できるかなって。誰とやるかがとても重要なんです。
 
価格もすごい頑張ってもらって…間違えたくらいに(笑)
 
— 普段作られているという店舗什器と、BASEだと、なにか違いがあるのでしょうか?
 
大竹 たとえば、店舗什器はお客さんがぶつかったときに服が引っかからないようにとか、怪我をしないようにと足を丸くするんです。でも、あえて怪我しない程度のギリギリのラインで角張らせたい、という要望がありました。
 
WORKLIFEINTERVIEW090.png
 
大竹 しかも今回の角パイプって一枚の板を丸めて作っている材料なので、うっすら溶接の線があるんです。でも「それが外側にあると見栄えが悪い」って。なので全部内側に来るようにしているんです。そんなこと普段の案件では絶対しない。
 
溶接も、うちの現場だと「いっぱい付けた方が壊れないじゃん。安全でしょ」って言ってもりもりもりーってやるのを、とっぽ(※)さんが「いや、これ駄目だ。綺麗にしたい」って言うので溶接の仕方も変えましたし。
 
(※)ここではニックネームに置き換えております
 
WORKLIFEINTERVIEW096.png
左:開発途中のサンプル、右:製品
 
とっぽ いままで店舗の什器が中心だから、現場の人は今まで通りの感覚でやるけど、NuAns製品としてはそれはNGだからって、わざわざアレンジをしてもらいました。
 
大竹 こういう品物もあるんだよ、って現場を説得して。
 
自分も、品物を買う上でちょっと細かいところがあるのかもしれない。だからとっぽさんと話していく上で、なんか分かるような気がして。
 
— ほかにも細かい指摘はありましたか?
 
大竹 アクセサリーをはめるためのパーツ(BASE本体の黒い部分)と、木が見える隙間がほぼ均一になってるんです。サンプルを送ったとき、とっぽさんから「こっちが1mmなのに、こっちは2mmだ」って電話がかかってくる。
 
WORKLIFEINTERVIEW092.png
 
とっぽ 四辺別パーツでやっていたところを、最終的にこのフレームは全部溶接で繋げることになったんです。
 
どんなに1個1個精密に作っても、別パーツだと最後ビスで締めたらそれに引っ張られてどうしても均一にできない。私たちの要望に応えるために大竹さんに提案してもらった手法です。
 
— 他に製造で苦労した点はありますか?
 
大竹 BASE本体のコの字パーツと、アクセサリーのインロー(※)構造が大変でした。最後はまると思ったら、塗装ではまらなかったり。
 
(※)凹凸の部品同士が噛み合うこと
 
— 塗装の厚みで!?
 
大竹 なんでかっていうと、元々はツヤありの塗膜の薄い塗装だったのが、途中で塗膜が厚くなりやすいツヤ消しになったんです。
 
いろんなことがあったけど、一番大変だったのはこのパーツのはめ込みです。マグネットがちょっと飛び出たり、アクセサリー本体に対して磁石がピタピタでも駄目なんですよ。残っちゃう。
 
— ああ、BASE本体にマグネットが持って行かれてしまう、と
 
大竹 うちの社長に言ったら「知らねえのか!」って言われて。「マグネットがちょっと付かないくらいが一番強いんだぜ」って。一番磁力が強くなるのは、マグネットがギリギリ付かないで浮いてる状態なんだ、と。
 
とっぽ それ治田さんも同じようなことを言ってて、さらに鉄で囲まれてることによって、磁力が強くなるんだとか。
 
— へぇー、だからアクセサリーの方は磁石がすこし奥まっているんですね
 
WORKLIFEINTERVIEW097.png
 
とっぽ ちょっとでもそれぞれのパーツが寸法間違えると全部が入らなくなるから。そこが本当にすごいところです。
 
大竹 天板の木と、アクセサリーをはめるパーツと、それにはめるパーツと、パーツの中に嵌めるマグネット…の鬼の組み合わせ!
 
WORKLIFEINTERVIEW089.png
 
何回サンプル送ってるんだよ、って。こんな案件はじめてでした。でも、いいものができたと思うんですよ。
 
とっぽ 最初に完成した量産サンプルと見比べると、同じ会社? と思うくらいの変貌ぶりです。試作から量産まで1年という期間でしたが、この短期間での大改善は、大竹さんなしではありえませんでした。
 
WORKLIFEINTERVIEW087.png

アクセサリーで作業環境をカスタマイズ 作業に十分な天板面積を確保することができる、機能拡張型デスクBASE。
 
ナチュラルウッド ¥49,800(税込)
 
 BUY  ONLINE STORE > Trinity NuAns Store
 


PROFILE

青木氏と治田氏の2人によるクリエイティブユニット。NuAnsブランドのプロダクトデザインを担当いただいています。

Hossy(ほっしぃ)。トリニティ・社長。NuAnsの製品開発に強いこだわりと思い入れを持っています。

Toppo(とっぽ)。トリニティ・セールス所属。営業でありながらWORKLIFEシリーズでは開発メンバーのひとり。時々登場します。

Natalie(なたりー)。トリニティ・マーケティング所属。この記事を書いた人。NuAns製品でのイチオシはTAGKEEPERとBANDWIRE。


最後に、セールスとっぽにインタビューします。この連載でちょこちょこ登場していた彼は、トリニティの開発チームではなくセールスチームの所属です。普段は営業として商談や店舗回りをしているのですが、WORKLIFEシリーズでは開発担当として参加しています。
なぜ開発メンバーに抜擢されたのか? なぜNuAns什器を作っているのか? その経緯などを聞きました。
 
とっぽ NuAns NEOの商談帰りに、ほっしぃさんと食事に行ったんです。そのときに、「NuAnsの2ndシリーズの開発を一緒にしないか」って誘われました。
 
— 営業の仕事もしつつ、開発を担当するとなると大変だと思いますが、なにか理由があったのでしょうか
 
とっぽ 普段から「やりたい雰囲気」は出してたから。でもNuAnsの開発…っていうのは考えてなかったです。
 
Simplismではいくつか企画を採用してもらっていて、ケースやフィルムのつもりだったので、NuAnsでそういう話になるとは思いませんでした。
 
TENTさんとは当時、展示会だとか、店舗什器だとか、NuAns NEOの販促物でよく交流があったからそういう流れもあったのかもしれません。
 
— 社内では展示会のディスプレイや店舗什器ならとっぽに相談、みたいな空気がありますね。そこら辺の企画やデザインからDIYまでやってますし…
 
とっぽ NuAnsローンチの前に、TENTさんが社内向けにプレゼンにきたんです。その時にいろんなお店のディスプレイの資料を集めて「こういうのやりたいです」ってリクエストしました。
 
— 什器に対する熱意があるな、って
 
とっぽ でもね、「什器、好き」じゃないんですよ(笑)
 
— あれっ?
 
とっぽ NuAns製品はすごくいいけど、もし、展示の雰囲気がそれに伴っていなかったら意味ないなと思って。そこの辻褄を合わせたくて。普段はApple周りのアクセサリーをやっているので、Appleの影響も強いです。
 
— 店頭で並んだときの世界感をこちらから提供したい、と?
 
とっぽ そうです。NuAnsの最初のシリーズの発表会が終わったあとに、代官山蔦屋書店で先行展示予約があったんです。そのディスプレイもTENTさんに一緒に考えてもらって、設営を夜から朝まで共にしました。
 
ブログでも書いてましたね
 
とっぽ その什器を塗装したりして自分で作ったんです。そこから深く関わるようになりました。
 
前の職場も製造業だったけど、現場の手伝いとか一切やりませんでした。カッターで切ることすらできなかったし、やりたくなかった。プロに任せればいいじゃんと思ってた。現場の人にも「仕事、全然興味ないでしょ」ってすごい言われたし、客先から指示されたことを持って帰って、そのまま現場にただ伝える典型的になダメな営業でした(笑)
 
当時はものづくりが全然好きじゃなかったんです。1mmも好きじゃなかった。びっくりするくらい。
 
— いまの店舗什器をDIYしている姿しか知らないので、まったく想像できないです
 
とっぽ 前の職場の取引先にすごい人がいたんです。その人はデザイナーだったけど、情熱があって、「できない」って言われても諦めないで戦う、どうにか納得してもらう、やれる方法を考える、なんでも断る当時の上司もその人だけには、対応が違ったりしてました。
 
そういうのを間近で見て、今まで会ったことない人だなって。かなり影響されました。ものづくりが好きになったのもそうだし、人間的にも変われたと思います。
 
— おおーっ!
 
とっぽ そのあとも超体育会系のクリエイティブ集団に出会い、さらに情熱を注がれ、その人たちにとあるデザイン事務所を紹介してもらいました。そのデザイン事務所は「おもしろい感じ」「こんな雰囲気で」みたいな、かなりアバウトな依頼だったんです。今までは言われたことをやるだけだったけど、自分で考えて提案できるのがとても面白くて。作る側になりたい! と思って今に至ります。
 
「什器は好きじゃない」とは言ったけど、「楽しい」は間違いない! 好きだからやっている、と思われてしまうのは苦手です。でもやる意味は誰よりも理解しているつもりなので。「クリエイティブセールス」って自分では言ってます(笑)

今回でこの「WORKLIFE INTERVIEW」の連載も最終回です。いかがでしたでしょうか? どんな人たちが、なにを考えて、どんな風に作ったモノなのか。それを知ると、ちょっぴりその製品への印象が変わったりして…。

私自身、今回のインタビューを通してWORKLIFE製品の気付いていなかった魅力を知ることができました。これを機に、自宅で使うWORKLIFE製品が増えました。

気になった製品はぜひお試しくださいね。ありがとうございました。

WORKLIFE INTERVIEW