青木 FLIPBOXは「FLIPTRAYを大きくしてボックスにしたい」ととっぽさんが急に言い出して。
とっぽ そうなんですよ。ずっとやりたかったんです。格好いい収納ボックスって中々ないじゃないですか。デザインがよくても紙製の箱は長く使えないですし、なによりTENTさんとやりたかった、という事が大きいです。
青木 で、僕は最初、でっかくするだけなんて安易だなあ、ちょっと嫌だなと思って(笑)。 その要望を放置しちゃってたんです。そうしたらあるときにとっぽさんが、展示会(ミラノサローネ)に出展したいから、明日には図面出してください! って言ってきて。
じゃあやりますかと。良いかどうかわからないけど試作を作ろうということで、図面を描いたんです。FLIPTRAYやFLIPHOLDERをすでに作っていたので、こちらについては手作りではなく工場で試作をお願いしました。そして工場から試作が届いたところ、なんと思いのほかよかったんです。
ーまさか、そんな流れで生まれた製品だったとは…!
青木 フタを閉めたときのバタンがすごくいい仕上がりなんですよ。とっぽさんが試作を持ってきた時に「これ聞いてくださいよ(バタン)最高ですよ(バタン)」って。「安易だなとか思っててすみませんでした、とっぽさん!」って。
とっぽ 何度目かの試作段階で、フタに入るはずの板が間違って少なく作られて工場から送られてしまって。でも「バタンの音が違う」と言って発見できました。
ーす、すごい…
青木 キャンバス布地でできたフタが、前側から開けられて、中のモノが取れて、上からも開けられる。
青木 ちなみにFLIPBOXで1番難しかったのは、物流です。「これは空気を運んでいる」というのが指摘されまして。生産しても送料が高くなってしまうので、これを折りたためる構造にできないかっていう。なので実はいろんな案を出して試作もしました。本当にたくさん考えました。でも折りたたむと強度や見た目のシンプルさが維持できなくなる。
― 最終的に、折りたたまない構造になったのはなぜでしょうか?
青木 とにかく、折りたたみのための工夫すると、強度が下がってしまうんです。じゃあ、そもそも紙のボックスではなくFLIPBOXを買う理由ってなんだろうと。インテリアに馴染む質感や堅牢さだったり他のボックスにない魅力がないと製品として成立しないんじゃないかと。
この樹脂が肉厚なんですけど、こんな贅沢な設計のボックスは他にはないです。完全に強度のための厚さです。奇跡の製品ですよ。樹脂の厚み、それに伴う成形の難易度、そして配送。今回のシリーズの中でも、使う人にとってはおそらくいちばんお得な製品ですね。
カメラとかヘッドフォンとか高価なものを入れるために、中にシートを敷いています。ごちゃーっと入れるというよりは、人に見せられる場所に置きつつ、頻繁に開け閉めしたくなるようなものにしました。
とっぽ タグはNuAns第1弾製品にも付いていますが、WORKLIFEでは実はアップデートしているんですよ。
ーえっ!? あ、本当だ。1stシリーズとちょっと素材が違う
(左:NuAns 1stシリーズ、右:NuAns WORKLIFEシリーズ)
とっぽ 前作のNuAnsではタグはパッケージのみについていて、今回からロゴタグが製品にも付いています。なのでより良くしたかったんです。最初、サンプルをリクエストしたときにイメージと違って…。これはNGサンプル。
とっぽ もっとかたくてしっかりした素材にしたかったんだよね。あるメーカーの服に付いてたタグの感じがよかったんで、それを切り取って、自分でサンプル作ったりしました。
― トリニティの恒例で社員は「年末の山分け」と呼んでいる、サンプルや試作品をもらえるイベントがあるんです。そこで試作用の素材違いのFLIPBOXが出ていたんですが、めちゃめちゃ人気でしたね。
青木 おっ! すごい!
― 社員番号順に欲しいモノをひとつずつ選んでいくルールなのですが、見る見る減っていって
とっぽ あれはうれしかったですね。
ー山分けでも大人気でしたが、社内でもちらちら使っているのを見ますね。サンプルを入れたり、お菓子を入れたり
ほっしぃ 前の部分の樹脂をラウンドさせていることによって、指がしっかりかかるので使い勝手がいいんです。これの最大のポイントは「片手で開けて、片手でしまえる」というところ。めちゃくちゃ便利。
ー個人的にはもっと大きいサイズも欲しいなあと思っているのですが、他のサイズで展開予定はありますか?
ほっしぃ 「A4サイズが入れられるようにして欲しい」っていうのはすごく言われます。書類が入れられるようにね。要望が色々出ているので、うまくいけばもうちょっと大きいのもアリですね。