ーCADDYの名前の由来を教えてください
治田 チームみんなでアイデアを出し合って決めました。
青木 CADDYは始めは「SILO(サイロ)」という名前でした。
ほっしぃ TENTはずっと最後までサイロ推しだったんだよね。でも、アメリカ側で「印象が悪い」という話があって…。
青木 サイロって、農産物や家畜の飼料を貯めておくやつなんです。
治田 田舎の田園風景にあるじゃないですか。それで「田舎くさい」と。
青木 「田舎くさい」とはなんだっ! って、怒ったりして(笑)
ー(笑)
青木 あたたかみがあっていいじゃないかっ!
ーCADDYって「缶・容れ物」という意味なんですね
ほっしぃ CADDYは、ちょっとしたケーブルとか電池とかSDカードを入れるための「小物入れ」です。縦長の入れ物って、縦長のものを入れるには適してるんだけれども、電池やSDカードなどの小物は出し入れしにくい。
だから縦型と薄型両方の収納スペースがあって、どっちもいいところを取りたいというものです。
治田 収納の中に細々したものがごちゃっと乱雑に入ってることって多いじゃないですか。電池がどこだ、SDカードがどこだ、とか。そういうモノが整理して入れられて、部屋の中で隠さないで置いておけるようなものがいいと思ってこれを作りました。
ほっしぃ そしてカタチとしては円柱。珍しいですよね。NuAnsタグも、ここから生えてくるというのは作るのがちょっと面倒くさいんだけど、治田さんが「ここに欲しい」と。これがあることで、天地が感覚的にわかるんだよね。
ーなるほど、ちょっとした飾りが実用的な役割も担っているのですね
ほっしぃ これもただのプラスチックではなく、混ぜ物をして雰囲気を出したいというのがあります。いろんなものを混ぜるのを試したんですけど、COLONYと同じく石の粉を混ぜています。
治田 これの特徴で言うと、ケーブル類などの細長いものは筒の中に入れられる。それ以外の細々したものは下のシークレットボックスに入れられるんですけど、最初は構成が逆でした。
シークレットボックスが上にあったんです。フタを開けると、中に中皿がいる構造で、その下がケーブル類でした。でもそうすると、フタを取ったときにケーブルにアクセスが一回でいかない。
ー「フタをとる」→「中皿を取る」→「ケーブルにたどり着く」という感じですね
治田 色々考えたときに、青木さんが「中皿を一番下にしたら?」と。そうしたらどちらもワンアクションでアクセスできるので、この構成で落ち着きました。
ただ、下のロックの勘合具合の細かな調整は、結構苦労したところです。材質のせいもあって。選んだ樹脂が硬かったので、何回もやってると削れたり、折れちゃうんです。バネ性がないというか。なので使用する樹脂と、ここの機構をちゃんと考えた上でフィックスしました。
治田 あとはやっぱり中の可動式の仕切り。ケーブルなどの長いものを入れたいときと、充電器とかカメラのバッテリーとか大きめのモノを入れたいときとあるな、と。
仕切りを取り外して、使わないときはどこかに置いておけばいいとか、そういうアイデアもありました。でももっと簡単にどっちも選べる方法がないかなぁと思って、可動式の仕切りを思いつきました。
左:仕切りあり、右:仕切りなし
青木 治田さんが紙で試作を作って「こういうのを考えたんですけど、まぁ、ちょっといらないかなぁと思って」って。
ーえっ!?
青木 「えっ!?」ってなって(笑)。治田さん、そういうの多いんですよ。僕に見せるときにね、「いやあ、こういうのを考えたんだけど、ちょっとやめようと思ってます」っていう。
ーTENTというデザインユニットの関係性が垣間見えました(笑)
ほっしぃ 治田さん、挫折しそうになった話はしないんですか? 治田さんが自信を失って、もう駄目だ、諦めよう、となってたときの。
治田 いやあ(笑) ほっしぃさんに「こういうアイデアをやりたい」って説明する反面、「まぁでも、必要ないかもしれないですけど」とか言いつつやってたというのはあります。
ほっしぃ 「言っても、筒だしね」みたいなところから一度、ホールドしたときありましたよね。考え直しましょう、みたいな。
青木 そのときはシークレットボックスも可動式仕切りもなかったんですよね。
治田 そうですね。値段感とかいろいろ考えて「何千円も出して、ただの筒を買うか」という。すごい根本的な…。
青木 それで可動式仕切りの案が出て、それがブレイクスルーになりました。
ほっしぃ この可動式はすばらしいと思いますね。みんなで治田さんを励ましたんでね。「これはいいですよ!」って。
ーそんな迷走を経てのリリースだったのですね。でもそれが結果的に使用シーンの熟考された製品に仕上がったのだなと感じました。