2018.03.20.
さて、今回からは各製品のご紹介です。
まずは開発サイドで「FLIP3兄弟」なんて呼ばれている、FLIPシリーズのひとつ、FLIPTRAY(フリップトレイ)からまいりましょう。
FLIPTRAYはデスクの上ではペントレイ、出かける際にはペンケースになるという一人二役なステーショナリーケースです。
青木 FLIPのシリーズは、2012年くらいにTENTのオリジナルとして「qulpaca(くるぱか)」っていう名前で作って展示会などに出展していたものなんです。
そもそも、なんでこれを作ろうと思ったのかというと、カッターとかペンとか定規とか、一式持ち歩くものが欲しかったんです。そうすると普通は筆箱を買うと思うんですが、欲しい筆箱がぜんぜんなくて。
革の筆箱とかだと開けたときにふにゃっとなるじゃないですか。缶ペンだとパコッとフタが開いて…あの使っているときの状態が嫌で。
― 開けっ放しのときに、フタが邪魔だったんですね?
青木 はい。僕の日常だと、それほど頻繁に外で筆箱を使う機会はなくて。基本的には事務所で作業することが多いので、トレイみたいなものが最適なんです。
でも、たまにそのトレイを丸ごと持ち歩きたくなる時もある。なので、普段使うトレイがそのまま出先へ持ち運べるみたいなのが欲しいなと漠然と思って、まずは手作りで試作をしてみたんです。
― それがWORKLIFEで製品化された経緯というのは?
青木 展示会に出したあと、特に商品化に向けて動けていませんでした。でも実は、縦方向にパカッてなるこのアイデアがあったことで、NuAnsの1stシリーズのROLLDOCKのアイデアが出ているんですよ。
今回、NuAnsの2ndシリーズを出すとなって、ROLLDOCKの原点になったこのアイテムを世に出したいなぁと思いつきました。
― ケースの樹脂には「あえて厚みを持たせている」のだと聞いていますが、どうしてですか?
青木 構造的に樹脂の中にマグネットを入れなきゃいけないので、その厚みを確保するための工夫からできた形状だったんです。でもそのおかげで強度が増し、さらにゆがみにくさも実現しています。
― ケースの内側の樹脂が、ゆるやかにラウンドしていますよね
青木 FLIPTRAYは、もともとのコンセプトは「筆箱」というより「トレイ」という考え方なので、開いている状態が非常に長い。なので、開いたまま机の上に置いてあってもさまになるものを作りたかったんですね。
青木 単に壁面が垂直に出ているだけだと、嬉しい状態にならなかったんです。強度が安定しつつ、かつ樹脂ならではの豊かさが出る形状を目指しました。プラスチックの良さを活かしたカタチができたかなーと思っています。
― 素材がウルトラスエードと、キャンバス生地の2種類あるのは何故なのでしょう?
青木 ウルトラスエードは非常に高価な素材なので、ビジネスシーンを想定しています。キャンバス生地は価格をおさえることができたので、若い方でも気軽に使ってもらえるような「はじめてのNuAns」になって欲しいと思っています。
ほっしぃ FLIPTRAYは開けて置いたときに傾斜があって中身が見やすい。ペントレイというのはさっと取って、すぐ書けるのが魅力ですね。
そしてペンケースとして持ち運べる。自分の好きなペンというのは「ペントレイ用」と「ペンケース用」に分けるんじゃなくて、ひとつで常に自分の好きなものを使っていたいね、っていう。
外側の樹脂がしっかりしていることによって、鞄にさっと入れて押されたとしても中が傷付かない、というのがポイントです。
ほっしぃ 中の上部のところもはじめは平らだったんだけど、一段下げてもらって指を引っかけて中のモノを取りやすくしました。さらにクリップとかが入れられると思って、磁石を付けています。
ほっしぃ 実は、外側の樹脂が「垂直に立っている」というのもすごいことなんです。
― 垂直、と言いますと?
ほっしぃ 真っ正面から見て、樹脂が直角に立ってるんだけど、これは普通に作ると製造上の問題で難しいんですね。金型に対して樹脂を流し込んで固めるでしょ、そのときに真っ直ぐになっているものを抜き取ろうとすると、摩擦でこすれちゃう。
だから、必ず傾斜をつけないといけない。これを抜き勾配と言います。そのために意図した形を成型したくても、どうしてもつけなければならないテーパーが発生してしまいます。
ほっしぃ しかもシボをつけることでマット感を出していますが、シボというのは細かい凹凸だから、もっと角度をつけないといけなくなる。
金型の抜き方を変えればいいのだけど、また別の問題が出たりしてね。金型の継ぎ目のラインがでてしまったりとか。いまのカタチは苦労と試行錯誤で実現しました。
― それはTENTさんから「真っ直ぐにしたい」という要望があったのでしょうか
ほっしぃ そうですね。ただ、TENTは途中で「少しなら…」とOKを出しかけたけれども、最終的に僕が許せなくて。すごいちっちゃい所なんだけど、こだわりです。美しいこの全周を見ていただきたいです。
ちなみにこのタグも難しくって…。「NuAns」ロゴがきれいに印刷されていて、かつ、センターにちゃんといるっていうのは意外と大変なんです。でもこれがズレてるとダサイでしょ。そうとう選別しています。
開発途中、「駄目じゃないなら、いいんじゃないか」と言われたこともあったけれど、しっかり自分たちで自信を持てる、そしてベストセラー・ロングセラーになる製品にしていきたいという想いがNuAnsには強くあるので。
デスクの上ではペントレイとして、出かける際にはペンケースとして使用できるステーショナリーケース、FLIPTRAY。
キャンバスホワイト/キャンバスサフラン ¥1,980(税込)
スエードグレイ/スエードカーキ ¥2,980(税込)
PROFILE
|
青木氏と治田氏の2人によるクリエイティブユニット。NuAnsブランドのプロダクトデザインを担当いただいています。
|
|
Hossy(ほっしぃ)。トリニティ・社長。NuAnsの製品開発に強いこだわりと思い入れを持っています。
|
|
Toppo(とっぽ)。トリニティ・セールス所属。営業でありながらWORKLIFEシリーズでは開発メンバーのひとり。時々登場します。
|
|
Natalie(なたりー)。トリニティ・マーケティング所属。この記事を書いた人。NuAns製品でのイチオシはTAGKEEPERとBANDWIRE。
|
WORKLIFE INTERVIEW